プロになりきれない主婦う〜さんが綴る、日々のあれこれ。

2015年3月21日土曜日

かんながけ

 先週のこと。
 まな板がどうにもこうにも汚くなって、削ることにした。
 以前、裏の大工さんにお願いしたら、本体があまり良くない状態と言われたのだが、とりあえず愛着があるし、削れるだけ削ってみようと。薄くなったって構わないやと、自分で削ることにした。
 
 まずは、ネットでどんなものが売られているかチェック。値段とコメントを適当に頭に入れてホームセンターへ。アマゾンで売ってるのと同じ物が有り、値段も変わらなかったので、大きさの異なるそれらを持ち比べ、一番手になじむ物を入手した。

 湿気と包丁でぼろぼろになったまな板の表面は、やっぱり削りにくかった。
 その上、私はかんなを触ったことがない。
 見かねた次男が、「刃の出し方が違う」といじくってくれたのだが、「学校のと違う」と言って、上手くいかないようなので、壊す前に返してもらった。You Tubeで刃の出し方を見て、何とか調整。
 よしよし。
  最初はもの凄い音を立てて、厚削り節のような木くずが出ていたのだが、調整後は花鰹のような削りカスが出てきた。
 流しでショリショリと削る。テーブルの上でやってた時は腕だけで削ってたけど、やっぱりまな板を支えてくれる物(流しの縁)があると、 体全体で削れるから楽・・・当たり前か。

 多少、刃が刺さった後は残る物の、表面がきれいになり、厳密に言えば、少々段もあるけれどきれいになったので、小口も削る。
 ここはほんとに水がたまりやすいのか浸みやすいのか、ぼろぼろになっている。
 なかなか進まないので、再度刃を調整して、少し厚く削り、概ねきれいになったら、刃を薄くして仕上げ。
 面取りもした。
 素人がやってるから(初めてだし)、お世辞にもきれいとは言えないけれど、まぁ良しとしよう。

 今日は天気がいいから陰干しをして、サンドペーパーで表面を整えてみようかな。
 薄くはなったけれど、まな板立てに入るようになったし(厚すぎて入らなかった)、使えなくなるまで削って、大事に使おう。

 材は、エゾノバッコヤナギ。










 

2015年3月5日木曜日

 通勤路に、河口付近の橋がある。川は東に向かって流れ太平洋に注ぎ、近辺には貨物の積み出し港や、漁港、そして海水浴場がある。
 仕事帰りに、その橋で月に出くわすことがある。夕方6時前後に通るので、大抵満月辺り。日の短い冬場は真っ暗な中に煌々として浮かび、海と川に月の道を作っていた。3月に入ると急激に日が延び、今はペールブルーの空に、薄淡い金糸で作ったぼんぼりのように、儚げに浮かぶ。

 冬の豪華絢爛、華やかな月も良いが、より心惹かれるのは、薄ぼんやりとした月。少し欠けた月が、ドライアイスのような雲の向こうでたたずむ姿は、冷たいほどに清楚なのに、光の裳裾から何とも言えぬ艶やかさがこぼれるし、春霞に包まれた姿はほんの少し寂しげなのに、閉ざされた闇を無心に照らす。
 40年近く空を見上げてきて、最後に残るのは、やはり月。四季それぞれに、刻それぞれに、仰ぎ見る者の齢それぞれに、数限りない顔を見せる月。それとて、永遠にこちら側だけ。

 松林を過ぎて、飛び込んでくるその姿。海の上から、海面高く喫水線の見える貨物船の上、建ち並ぶ倉庫の上、電柱と電線の陰を細く見せ、世界を支配しそうなくらいに大きな月が、フロントガラスの枠を忘れさせる。
 ・・・あぁ、でも、ハンドルを握っているのを忘れてはいけない・・・。